ニチモ1/200戦艦大和 完成
ニチモ1/200戦艦大和完成
製作代行のご依頼を頂き作らせて頂いた本作品は、2020年5月11日に着工し、約3か月の作成期間を経て2020年8月8日に完成しました。
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ところで、1940年8月8日が大和進水日だそうで、奇しくも80年後2020年8月8日にニチモ1/200戦艦大和が完成したのでした。戦艦大和に魅了されたモデラーとして、『大和進水日』に子供の頃憧れたニチモのデッカイ大和を完成させた事は、何かしらご縁を感じます。
本作成記の最後に、「ニチモ1/200戦艦大和」完成写真を、解説を加えながら公開させて頂きます。

ニチモ1/200「 旧日本海軍 超弩級 戦艦大和」-捷1号作戦時- 完成写真
1/200スケールと言うビッグスケールの戦艦大和は、写真で見るとそのスケール感が他スケールのモデルとは比べ物にならないほど際立ちます。艦首から望む木甲板の通称「大和坂」には世界最大の「46cm主砲」がその存在感を見せ、大和の頭脳である前部艦橋がそびえ立つ姿は威風堂々として見えます。
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艦の舷側から望む全景はどっしりとした船体にコンパクトな中央構造物は近代的造形でバランスが取れたシルエットとなり、今に残る公試航行中の戦艦大和の写真を彷彿とさせます。
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本作での戦艦大和の姿
このキットが発売された1968年(昭和43年)当時の考証を基に設計されたものであり、現在において調査により新しく判明した考証を基に設計されている最新キットの形状と異なる部分が多数あります。最も違うのが前部艦橋の基部形状と、15m測距儀の形状ですが、それこそがニチモの戦艦大和キットの特徴でもあります。1981年に公開された映画『連合艦隊』劇中に登場した、1/20スケール戦艦大和は特撮用にニチモの戦艦大和と同じ図面を基に作られ、ニチモの戦艦大和をそのまま大きくした姿であった事からも判るようにこれがスタンダードモデルでした。
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本作では21号電探(四角い網状のレーダー)はエッチングパーツを使用し、キット純正パーツ取り付け位置とは異なり、新考証通り測距儀アーム上部の正しい位置に移設しています。他所でも手すりや防水扉、クレーン、射出機などエッチングパーツでディテールアップをしていますが、髄所にニチモ1/200戦艦大和の特徴そのままにして完成させています。
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作品総括
半世紀以上前のキットで、現在の最新キットとは形状が違う部分もありますが、呉海軍工廠造船部が改装のため昭和19年2月7日に製図した「呉廠船設軍極秘19第215号~220号」等の図面を基に設計した事で、基礎的な形状は素晴らしく、このキットは全体的なバランスも含め個人的に好きな造形です。
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竣工時には中央構造物を挟み両舷側に副砲が装備されていましたが、海戦において砲撃戦術の「対艦兵装」から、航空機による空襲戦術になると、改修の度に「対空兵装」が強化されます。本作品が再現する「レイテ沖海戦時」には副砲が撤去され、そこに高角砲及び機銃を増設するため張り出す形の構造物が拡張されました。各時期の大和艤装の中でも個人的に好きな姿です。
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迫力ある1/200スケールが際立たせる大和の後ろ姿は本当に美しく、構造美があふれていて個人的にとても好きなアングルです。
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今回は製作代行のご依頼で作らせて頂きましたが、当時の最高技術が生み出した美しい大和の姿を思い描きながら、パーツ一つ一つ丁寧に組み上げ、自分の持てるスキルを全て注ぎ込み仕上げ「ニチモ1/200戦艦大和」らしい持ち味を最大限引き出した最高の作品となりました。
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終わりに
戦艦大和は当時の日本の科学技術と工業技術を駆使し、史上最大最強の攻撃力と防御力をもった最新鋭の巨大な軍艦として誕生した歴史があります。戦後日本においてその礎が現在の工業製品にもつながっています。例えば前部艦橋トップに据えられた15m測距儀は「日本光学工業」(現ニコン)が新型戦艦用測距儀として設計と製造を担い、大和の46cm主砲による砲撃着弾精度は世界最高水準でした。その軍事用光学機器(光学兵器)の技術を、戦後は双眼鏡やカメラなどの民生用光学機器の生産に活かして事業転換し、現在は「Nikon」として世界にも認められるカメラメーカーとなっています。
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模型として作る大和は今見ても艦影が美しい船であり、戦後、日本が「モノづくり大国」として世界に認められる礎となった技術の結晶であります。当時の職人たちによる匠の技が作り出した構造美が魅力であり、「戦艦大和」は私にとって永遠の憧れでもあります。その一方で、兵器として誕生した歴史を背負っている点も忘れてはなりません。大和の「美しさ」と共に「歴史的な重み」を模型で表現しご覧頂く事で、一人でも多くの方に戦争の事を知って頂き、先人の作り上げた技術が日本の礎となって今の平和がある歴史を学び、後世へ伝え残す事の一助となればと考えます。
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最後に、この度は「ニチモ1/200スケール戦艦大和」と言う貴重なキットを作らせて頂く機会を頂きましたご依頼者様と、ご紹介を頂きました『艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤード』渡辺真郎代表に改めて感謝いたします。ありがとうございました。

製作者:模型職人 芦田 秀之 @屋根裏部屋の男
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